杖や歩行器を嫌がる人への対策-転倒予防のために-

介護

この記事を読むのに必要な時間は約 5 分です。

歩行の安定性が悪くなってよく転倒してしまう。
にもかかわらず、杖や歩行器、シルバーカーを嫌がる人って結構いますよね。

それでも家族側、リハビリ側の感覚としては転倒しないために杖や歩行器を使って欲しい。
こういったケースの対策に悩む方に、可能な限りの対策をお伝えします。

 

なぜ杖や歩行器を嫌がるの?対策は?

杖や歩行器を嫌がる方には、見た目を気にされる方が多い。
シンプルに「かっこ悪い」ということですね。

それに加えて「自分はまだ杖を使うほど落ちぶれていない」ってゆう感覚がある方もいます。
「元気なのに杖なんか使いたくない。転倒なんてしない!」と思っているケースですね。

杖や歩行器を嫌がる方には、まずどっちのパターンで杖を使ってくれないかを把握することが大切です。

簡単な見分け方は家の中の生活で杖や歩行器を使ってくれるかどうか。
家の中で杖や歩行器を使ってくれるなら、見た目を気にしているパターンです。
家の中でも拒否される場合、自分の能力を過信しているパターンですね。

杖や歩行器の見た目を気にしているパターンの対策

杖の代わりに松葉杖を使う

松葉杖の方が普通の杖と比べて安定性が高く、重症な人向けにはなります。
にもかかわらず、これだと抵抗の少ない人は意外といます。
若い人でも使うものなので、高齢者ぽく見えないわけですね(むしろ若く見える!?)

ただし使い方を間違っている人が今でも結構多い。松葉杖は脇に「乗せる」ではなくて、「脇で挟む」が正解。しっかり挟んで使う必要があるので、その点だけ注意が必要です。

歩行器にもいろんなものがあるのを知る

歩行器には、いわゆる押し車みたいなものから、やや近代的なものまで色々あります。まずはこれだけいろんなパターンがあるのを知っておくこと。
いろんな種類の歩行器

いろんなものがあるので、歩行器のイメージが変わる可能性があります。

ただこれらでも厳しい場合も多々あり、その時に今までおすすめ出来ていたのがこのキャリーケース型のもの。
歩行器の代わりにキャリーケースを使う

このタイプは割と抵抗なく使ってくれる方がいました。
(これで支えになるか疑問かもしれませんが、人は何かに触りながら歩くことでバランスがグッとよくなります。目をつぶった時に、指一本どこかに触れると安定しますよね?あの感覚です。)

自分の身体が悪くなっているのを信じたくないパターン

このパターンは結構大変です。
心理的なケアが必要になるので…
「杖があなたに必要です」という言い方なら反発を招くことが多い。
「試してみましょう」は試すだけやって貰えることもありますが、反応としてはそんなに良くない…

かといって杖や歩行器が必要ないとは決して言えないので、

杖を促したい方が家族想いの方ならば、
「必要ないと思いますが、家族さんが心配するので、そのためだけに使ってみてください」
と、その人自身のためではないことを伝えてみるのは1つの手段としてありです。

次に、短期間限定、夜間限定などで使ってもらうように促す。
「今は退院したてだから1〜2週間だけ杖を使って欲しい」
「昼はいいけど、夜はどんな人でもフラフラしてしまうので、万が一のために杖を使って欲しい」
などですね。

そして、登山用の杖を見せてみるのもありかも…
リハビリ坊主が前に診ていた人ですが、杖を拒否していたものの、山登りが趣味の方だったのでそれを勧めて診ました。そしたらそれを普段から使ってくれるようになったんですね。そこまでデザインは変わらないですが、「老人用」のものより「一般の人が使っているもの」の方が抵抗は少ないです。

 

杖を使うことで余計に歩けない人がいることを知る

ここは結構大事なポイントです。
みなさん、杖を使えば歩くことが必ず安定すると思っていませんか?

残念ながら、そうではありません。
人によっては、杖を持つことで余計に歩きにくくなる人がいます
そんな人に杖をすすめても、それはやっぱり使ってくれませんよね。

具体的には

  • 脳の中の、「小脳」という部分に出血や梗塞がみられる人(手や足のコントロールが悪くなる病気です。思ったところに手が出せないので、杖が変な位置についてしまう可能性があります)
  • 何らかの病気で手が震える人
  • 杖と手と足の順番がわからなくなって混乱してしまう人

などの方が杖を使うことで歩くことが難しくなります。
最後の「混乱する人」の場合は練習によって歩行が安定する可能性はありますが、その他は基本的にNG。
ぜひ覚えておいてください。

 

今回、いくつかの解決策を出しましたが…もっと他にも「これすればよかったよ」というのがあればぜひ教えてください。記事に追加していきたいと思います。

と、いうことで今回の記事は「 杖や歩行器を嫌がる人への対策-転倒予防のために-」でした!
今回の記事を見ていただいた方には「理学療法士が選ぶ、介護予防にオススメの運動TOP5」もおすすめです。


2 件のコメント

  • 初めまして!たまたまある事柄を検索していてこちらの記事を見つけ、拝見させて頂きました。

    検索内容は老人用押し車での転倒率です。
    義母が先日、買物の帰りに押し車で移動していて近所で会った人に挨拶した後にバランスを崩し転倒したと聞き、何が問題だったのか?今後の対策はどうしたら良いのかが気になり手立てを探していたところです。

    転倒でのリスクはとても多いと私は感じていて…
    結果この度は顔を縫っただけの怪我で幸いでしたが、今後も同じ様に転倒する事があるなら頭部を打つなどしたり、車道にはみ出し通行中の車に轢かれたり、股関節等の骨折によって寝たきりになる可能性もあるので何か転倒を予防する策を理学療法士の方にアドバイス頂けると幸いです。

    義母は歩行は自立で、整形外科的な障害等はありませんが70代前半で既に腰がかなり曲がっていて歩行時に膝が上がらず転倒する事が以前にもあり転倒予防靴やソックスを購入した事もあります。

    義母が住む県とは別の場所で私は暮らしているので、側で見てあげる事が出来ず状況を詳しく把握できていないのですが、自宅で可能なちょっとした運動を整体師さんに教えてもらい日々足腰を鍛える努力はしているようです。

    理学療法士の方が備えている専門的な知識で足腰が鍛えられ、腰が曲がっていてもバランスを保て転倒しない体作りの策やその他アドバイスがあれば教えて頂けないでしょうか?

    • コメントいただきありがとうございます。押し車での転倒は、杖に比べて安定しているので少ないものの…ちょこちょこと起きるケースですね。
      細かく情報教えていただき、ありがとうございます。転倒予防でいくつかの手段を下に記載させていただきますね。結構たくさん載せたので…取り入れられそうなものからやっていただけたら良いかと思います。

       

      ・押し車を安定感のあるものに変える。
      実は押し車の中でも安定感が高いものとそうでないもの(杖よりはもちろん安定します)に分かれています。介護保険でレンタル出来ますし、試しに使うことも可能なので、もし今使っているものよりも安定感のあるものがあるならレンタルしてみると良いですね。

       

      ・バランス練習
      挨拶をしたケースでの転倒なので、横や後ろを向こうとしてバランスを崩したと考えられます。この場合、立位で後ろを振り返る練習が良いです(横もカバー出来ます)。ちなみに挨拶時なので、背筋を伸ばして顔も上に上げようとしたハズ。普段曲がっている背筋を伸ばそうとしながら後ろを振り返った可能性があるので、余計に難しい動きだったかもしれません。

      後ろを振り返る動きや、背筋を伸ばすなど、今回の転倒と同じような動作練習を行っていけると良いですね。
      もし仮にこの練習で既に安定感があるなら、動きのスピードを上げて練習すると良い練習となります。
      もしこの後ろを振り返る練習が難しければ、座った状態で身体を捻る運動を始める&立った状態で背筋を伸ばすことがエクササイズのスタートです。あとは能力に応じてそのほかのバランス練習をしても良いかと思われます。
      いろんなバランス練習が載っていましたhttps://pt-matsu.com/balance-training/

       

      ・ダブルタスク練習
      今回のように、歩いているあいだに他のことに注意が向いて転倒するケースは結構よく起こります。「歩く」ことと「挨拶」が同時に起こるために、頭の処理が追いつかずにバランスが崩れてしまうのです。なので、普段から歩きながら何かを考えたり、歩きながら別のことを考える練習が良いです。手段としては

      • ・昨日のご飯を考える
      • ・シンプルに頭の中で掛け算をする
      • ・友人と話しながら散歩する
      • ・明日やることを考える
      • ・見たテレビの内容を思い出す

      などなど。他にも、

      • ・コップに水を満杯まで入れてこぼさずに歩く
      • ・ハンカチをたたみながら歩く

      など運動を加えながら歩くのも良いです。
      ちなみにこれは認知症予防にも効果的です。

      こんな回答で大丈夫でしょうか?わからないことがあればなんでもお気軽にどうぞです。

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