CI療法って脳卒中のリハビリに効果ある?論文を読み漁ってみた。

空に手を伸ばす 医療

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脳梗塞や脳出血などによって腕や手に麻痺が残った方でも、麻痺のない方の手を使うことで日常生活を概ね自立して行うことができるケースが多いです(重症例は別として)。そのため、次第に麻痺した手を使わなくなっていき、本来はもっと使えるはずの手が次第に使えなくなってしまうケースがよくあります。
CI療法は、このような問題を解決するために開発された治療法で、今回はそのCI療法について書いていきたいと思います。

 

CI療法ってどんな治療方法?

CI療法(constraint-induced movement therapy)は、脳卒中(脳出血や脳梗塞)後の麻痺に対するリハビリ方法です。このCI療法は、さまざまな疫学研究の結果をもとに、多くのガイドラインで推奨グレードAもしくはBに位置付けられていて、エビデンスレベルの高い(効果的な)リハビリ方法と言えるんです。

また、CI療法を受けた患者は、麻痺手を支配する脳領域に可塑性性変化(死んだ脳細胞の回復みたいなイメージ)が生じていることが期待されていて、これが麻痺手の回復メカニズムのひとつと考えられているんです。

 

具体的にどんなことをするの?

CI療法は、「麻痺手に対する集中的練習」、「反復的課題志向型アプローチ」、「練習で獲得した機能を生活する上でも使っていく意識作り」といった3つの要素から構成されています。

麻痺手に対する集中的な練習について、練習時間は、1日0.5〜6時間、日数は10〜30日間、合計練習時間は15〜60時間の間で設定されているようです。この時間の中で、反復的課題志向型アプローチと生活で手を使用する意識作りを実施していきます。

反復的課題志向型アプローチとは、例えば「ものを掴む」「洗濯バサミで服を挟む」「ティッシュを取る」などのなんらかの課題を繰り返し実施していくことを言います。セラピストは全部で15〜30種類ぐらいの課題を提案し、麻痺している手の機能に合わせて難易度を調整しながら実施していきます。

次にセラピストは、反復的課題志向型アプローチによって改善した機能や活動能力を、日常生活でも使えるようにマネジメントしていきます。具体的には行動契約(麻痺した手で実施したい目標の設定、日常生活場面において麻痺手を積極的に使用することへの同意、具体的な麻痺手の使用場面の設定)、麻痺手に対するモニタリングの促進(麻痺手を用いる生活場面に関する日記を患者に毎日書いてもらうなど)を行なっていきます。

麻痺している腕で集中的にリハビリしていくので、結構ハードですよ。

 

CI療法はどんな人でも受けることが出来る?

まず CI療法は脳梗塞や脳出血などの脳卒中になり、腕が麻痺した患者さんを対象としています。

加えて、課題志向型アプローチといった「なんらかの作業課題」を行う課題なので、物品や道具を「持つ・摘む」、「離す」という運動が最低限必要になります。

そういった面から運動機能の適応として、随意運動で「手関節20°以上の伸展」と「母指を含む3関節において、中手指節間関節が10°以上伸展」が必要とされています。
Taub, E. et al. A placebo-controlled trial of constraint-induced movement therapy for upper extremity after stroke. Stroke. 37(4), 2006, 1045-9

他にも、重度の高次脳機能障害がない、認知症がないといったところや、長時間の練習に問題のない状態である必要があります(重度の内科疾患がないとか、心臓病で常に体調が優れないなど)

あと、こちらは「可能性」というレベルにはなりますが、電気刺激や磁気刺激などと組み合わせることで、上に挙げた手の動きより悪かった場合でも、CI療法を行い効果が出る可能性があります。

 

上記治療方法、具体的な概要、CI療法の対象はこちらを参考に書いています。
参考:リハビリ治療最前線!これだけ知っておけば、患者さんに何を聞かれても大丈夫!

 

ちょっと前のCI療法

CI療法が導入された初期のころは、起床時間の90%は麻痺のない方の手を拘束して、1日6時間の集中訓練を2週間実施するといった結構ハードな方法で行われていました。

ですが、1日の実施時間を短くしても十分な効果が期待できることや、麻痺のない方の手を拘束せず両手動作を積極的に実施することで訓練効果に大差がないことなどが様々な実践と研究が報告されています。

 

CI療法のエビデンスは?

まず、脳卒中治療ガイドライン2015において推奨グレードA(行うことが強く勧められている)で掲載されている…とのことで調べてみたのですが…なぜか見つからず…

脳卒中ガイドラインの作業療法版では「拘束療法」という名目で推奨グレードAという記載を見つけました。http://www.jaot.or.jp/wp-content/uploads/2017/01/guideline_stroke-0.pdf

あとはEvidence Based Review of Stroke Rehabilitation 日本語版でかなり色々と統合した情報があったので、原文ままになりますが転載させていただきます。

No,10上司介入の項の10.2.10のところからです。

CIMT は脳卒中患者の麻痺側上肢の機能的な不足を減らすためにデザインされた新しい一連のリハビリテー
ションテクニックからなる.CIMT の 2 つの重要な特徴は非麻痺側上肢を拘束することと麻痺側上肢の使用と練習を増加させることである(Fritz ら 2005).脳卒中患者は発症以来,短期間の間に上肢の“学習された不使用”を経験するかもしれない(Taub 1980),CIMT は皮質の再組織化を働きかけることによって学習された不使用を克服するためにデザインされた(Taub ら 1999).生物学的なメカニズムが効果に関与しているかは定かではなく集中的練習による効果は非麻痺肢の抑制による効果と切り離して考える事は困難である一方で,この方法での治療は特に中等度の脳卒中患者に期待できる.

いくつかのレビューは CIMT の有効性を発表してきた(Taub&Morris,2001,Barecca ら 2003,Hakkennes&Keating2006),そして結果は大体ポジティブだが,発表されたトライアルの数が少なかったり,研究のサンプルサイズが小さかったり,患者の特徴,治療の継続期間や強度,評価されたアウトカムが異なっていたりすることが原因で有効性の不確かさが残存している.Van Peppenら(2004)のメタアナリシスでは,CITはthe Arm Motor Activity Test もしくは the Action Research Arm test で測定された器用さの改善に関連があるが,FIM もしくは Barthel Index scores で測定された ADL のパフォーマンスとは関連がないと結論づけた.

より最近の Hakkenes と Keating(2006)のレビューでは 14 の RCT からの結果を含んでおり,治療に関連した利点があると結論を出したけれどもより大きい綿密に計画された研究はまだ必要とされている.サブグループに関する治療サイズの蓄積推定値は測定されていないが,伝統的な CIT vs 代替の治療もしくはコントロール群,修正された CIT vs 代替の治療もしくはコントロール群,伝統的な CIT vs 修正された CIT を含んだいくつかの治療が比較されている.すべての RCT に関連した蓄積効果量は:Action Research Arm test 1.51(95%CI 0.27,2.74),Fugl Meyer 1.16(95%CI -0.18,2.52),the Wolf Motor Function test 0.50(95% CI -0.28,1.27)であった

ちなみに同じようなテンションでまだ3倍くらい論文引用が続きます。笑

それらをまとめていくと、少しネガティブな研究もあるもののポジティブに捉えられる研究が多く、「CI療法はある程度の活動的な手首と手の動きがある脳卒中患者において有益な治療アプローチである.」と、この著者さんは結論付けています。

 

 


と、いうことで今回の記事は
「 CI療法って脳卒中のリハビリに効果ある?論文を読み漁ってみた。」でした!
…今タイトルを見返すと、あまり読み漁った感がない記事になってしまいました。でも、他にも結構読んでこんな感じの記事になったのでご容赦くださいませ。
コメント、違う視点からの意見、質問など大歓迎です。お気軽にどうぞ。

今回の記事を見ていただいた方には
脳卒中の後遺症を深く掘り下げて考える」もおすすめです。
ぜひ見てあげてください〜〜