脳梗塞の麻痺に対するリハビリまとめ-川平法やCI療法など-

脳梗塞・脳出血のリハビリ 医療

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脳梗塞、脳出血の死亡率は医療の進歩で大きく減ってきました。その反面、脳の損傷を受けてしまっているので後遺症が残るケースが多い。脳梗塞、脳出血のリハビリにはいろんな手技があり、リハビリ担当者の考え方に結構左右されます。今回はそんなリハビリの手技やアプローチをまとめてみました。

 

 

川平法(促通反復療法)

NHKなどで放送されてから、脳梗塞・脳出血のリハビリでだいぶ有名になりました。川平法は、

『川平法(促通反復療法)は、促通手技によって随意運動を実現し、それを反復することによって随意運動を実現するために必要な神経路を再建/強化することを目的とした神経路強化的促通療法である。』

平成奈良川平法研究会

とあります。神経路を再建/強化とありますが、つまり脳の働きを取り戻すためのアプローチをするということ。
そのアプローチは運動を通して行い、サポートしながら良い形での動きを反復して練習することで身体を良くしていく…といった感じです。

BOZUの持つリハビリ効果のイメージは、普通のリハビリ。メディアで過大な期待を持っている人が多いのですが、残念ながら特にこれが優れている印象はありません。

 

CI療法

脳梗塞・脳出血のリハビリで、CI療法は推奨グレードB、エビデンスレベル2

推奨グレード、エビデンスレベル(信頼度みたいなもの)が載っているものはこちらから引用させていただいてます。脳卒中 理学療法診療ガイドライン

推奨グレードに関して
A:行うように勧められる強い科学的根拠がある
B:行うように勧められる科学的根拠がある
C1:行うように勧められる科学的根拠がない
C2:行わないように勧められる科学的根拠がない
D :無効性や害を示す科学的根拠がある

エビデンスレベルに関して
1:システマティック・レビュー/RCT のメタアナリシス
2 :1つ以上のランダム化比較試験による
3 :非ランダム化比較試験による
4a:分析疫学的研究(コホート研究)
4b:分析疫学的研究(症例対照研究,横断研究)
5:記述研究(症例報告やケース・シリーズ)
6:患者データに基づかない,専門委員会や専門家個人の意見

だいぶ難しい言葉が出てますが、グレードはAが良くてDがダメ、エビデンスレベルは1が良くて6が微妙ということになります。

CI療法ですが、たぶん麻痺の一番ハードなリハビリ方法。麻痺した腕を良くするために、健常な腕を完全に固定して動かせなくします。麻痺した腕を使わざるを得ない状態になるので、とにかく動かす頻度が増えます。動かせない腕を使っていく必要があるので、結構ハード。

ただしハードな分CI療法の効果は良好です。ある程度の手首と指の動きが確保された状態で行う必要がありますが、その条件さえ整えばやる気次第で回復が見込めると言われています。海外の研究では推奨グレードがAと言われてたりします。

BOZUの持つリハビリ効果のイメージは、かなり良いです。ただ熱意が大事。気合いを入れてリハビリをしたい人にオススメです。

 

認知運動療法

運動と感覚のリンクを使った脳梗塞・脳卒中のリハビリ法。これ、たぶん一般の人の持つ普通のリハビリイメージとは違うと思います。麻痺した部分の感覚練習のために、硬さの違うスポンジを使ったりしながら感覚のトレーニングをします。運動の練習よりも、感覚の練習といったイメージを持ってもらえたらと思います。

この治療、脳の改善のために結構良いと思うのですが…治療者の頭が硬いケースが多いのがたまにキズ。普通のストレッチや運動も大事なのに、そこをないがしろにする治療者が多い。バランスを取りながら認知運動療法を取り入れるのはすごく良いですね。

BOZUの持つリハビリ効果のイメージは、ハマる人にはハマる感じです。ハマる人にはかなりいい感じになりますが、集中力を要するリハビリ方法なので、それについていけない人には少し酷な手段かもしれません。

 

ボツリヌス療法(ボトックス注射)

麻痺で痙性状態になった筋肉を、注射で毒素を入れ筋緊張を改善させる方法です。(痙性:筋肉が異常に収縮して、力が抜けなくなった状態)
リハビリではないのですが、この注射を打ったあとはリハビリが必要不可欠。ストレッチをしっかりしないと、良い状態をキープすることは出来ません。

BOZUの持つリハビリ効果のイメージは、しっかりリハビリを行うケースで良い感じ。ただ、せっかく注射を打っても数ヶ月経った時には元どおりになってしまうケースがあるので注意が必要です。

 

運動療法

至ってシンプルなリハビリ方法。筋力が弱らないようにトレーニングし、立つ練習や歩く練習を行なっていきます。でも、シンプルイズザベストです。シンプルなことをちゃんとこなしていかないと、身体は良くなってくれません
麻痺で痙性が起きた人に対して筋トレをしてはいけないという人が未だにいるのですが…痙性でも筋トレしてくださいね。

BOZUの持つリハビリ効果のイメージは、普通に大事。歩く練習、筋トレなどなどは必要不可欠です。(早期の歩行練習は推奨グレードAです)

 

課題特異的トレーニング

数年前に流行った治療の考え方です。普通にストレッチを行なったり、運動をするのではなく、なんらかの課題を提示してそれを運動の練習にしていく形です。言ってみれば「腕を前に伸ばす練習」ではなく「前に置いたコップを掴むように手を前に伸ばす練習」をやります。コップを掴むという課題に対してトレーニングしていくわけです。

一時期このトレーニングが優れていると噂になりましたが、最近は普通のリハビリと同レベルと言われてきています。ただ普通にリハビリするより、こういった課題がある方がモチベーションの向上には繋がっていくので、良い練習だと思っています。

BOZUの持つリハビリ効果のイメージは、普通のリハビリに飽きてきている人には効果的。リハビリのパターンを増やすのに良いですね。

 

ストレッチ

脳梗塞・脳出血のリハビリで、ストレッチは推奨グレードB、エビデンスレベル2

至ってシンプル、ストレッチです。これは当たり前ですがすごく大事!麻痺になってしまった身体は、どうしても筋肉が強張ってしまい、短縮していきます。

筋肉の特性ですが、よく伸びる筋肉は、よく縮みます。さらに、伸びない筋肉はあまり縮みません。よく伸ばしてあげることで、筋肉のコンディションを整えていくことが必要です。

BOZUの持つリハビリ効果のイメージは、必須のアプローチ。関節の硬さを作ってしまうのは、その後の生活に不便さをきたすと思っています。

 

ミラーセラピー

名前の通り、鏡を使ったリハビリ手段。ちょっと変わった鏡の使い方をします。少しわかりにくいかもしれませんが、脳の錯覚を利用したリハビリ。例えば右手を鏡に映して、それを左手であるかのように錯覚しようというものです。
これはちょっと説明長くなりそうなので、こちらのリンクをご参照ください
府中病院:ミラーセラピーとは

BOZUの持つリハビリ効果のイメージは…すいません、やったことがないのでよくわかりません。ただ論文ベースでは効果ありと言われることが多々あります。

 

VRを使ったリハビリ

VRを使った脳梗塞・脳出血のリハビリは、まだまだ研究ベースなので臨床では使われていません。ですがちゃんとした研究ではないものの、上肢機能の回復に効果がありそうな予備的研究があります。僕のイメージも、リハビリ手段として非常に優れたものだ思っています。ミラーセラピーの発展系のイメージでリハビリが出来るし、またゲームのようにして運動意欲を高めることも出来ます。この分野のリハビリ、どんどん進んでいってほしいところです。

BOZUの持つリハビリ効果のイメージは、期待感でいっぱい!まだまだの分野ですが、ほんとこれからに期待です。

 

代替手段の獲得

例えば食事について。右利きの人で右手の麻痺がある場合、お箸の使用が難しくなってしまいます。この場合、自助具と呼ばれる使いやすいお箸を使ったり、場合によってはスプーンに変えたり、左手を使えるように練習したりします。
右手が使えればベストですが、それに対するリハビリが困難を極める場合、こういった代替手段を選択することも一案。

諦めるようで悲しいかもしれませんが…歩けなくて家に閉じこもってしまいがちだった人が、電動車椅子をレンタルした途端に活動性が上がって外出を繰り返すようになったケースもあります。

まずは「食事をする」「移動する」「着替える」などの能力を獲得して、その後麻痺のリハビリに励む…というのもありだと思いますよ。

 

ボバース、PNFその他手技

最初に挙げた川平法も含めてなのですが、このあたりの手技に関しては妄信しないことが大事。手技が良いわけではなくて、あなたにあったアプローチをすることが大事です。

「ボバースで治った」という口コミがあったとしても、その人はボバース以外でも治った可能性が十分あります。また、この手技系のものはその治療者のスキルに大きく依存します。ボバースの若手より、一般的な運動療法をしているベテランの方が良い治療をするのが普通です。どんな手技であれあなたにフィットすれば良い感じ。

ちなみにではありますが、手技系はベーシック、アドバンス、マスターなどスキル分けされています。どの手技であっても、それでマスターまで進んだ人は、それだけの勉強をしているので治療スキルが高いケースが多いですよ。

 

結局どの手技がいいの?

どれか一つの手技に固執するのではなく、あなたに合ったリハビリ手段で、意欲的に取り組めるものを選ぶのが大事です。また、脳梗塞・脳出血を発症してから半年経つと、リハビリでの運動機能の改善効率は著しく下がる(ただし状態の維持にはリハビリが不可欠)と言われています。まずはこの事実を受け止めましょう。

そしてその上でリハビリを頑張りたいなら、是非頑張ってください!BOZUがリハビリをしていて、脳梗塞や脳出血で麻痺が残っている方でも、ちょっとした細やかな改善がみられるケースは良くありますし、半年以上経っていても大きく改善するケースもたまにあります。脳の可能性を信じることは、生きる活力になりますね。
(ここで医療費の話を出す方がいます。確かに今の高齢化社会、医療費の削減は大事です。でも、リハビリでの削減効果は微々たるもの。医療費削減に効果的なのは生活習慣病の予防などでの服薬数の削減や、わずかに余命を伸ばす高度な先端医療の費用を削減すること。こちらの方が圧倒的に効果が出ると言われています)

 

その他のリハビリ関連情報

  • 早期理学療法は推奨グレードA、エビデンスレベル2
    (リハビリは脳梗塞・脳出血から72時間以内にはじめるのがオススメです)
  • 電気刺激療法およびその他の物理療法は推奨グレードB、エビデンスレベル2
    (通常の運動療法に加えて経皮的電気刺激-TENS-を行うと,筋萎縮を予防し機能回復につながると言われています)
  • 訪問リハビリテーションは推奨グレードB、エビデンスレベル2
    (訪問リハビリテーションを受ける脳卒中者61名を対象にその効果を検証した結果,訪問リハビリテーションは慢性期対象者にも効果があり,発症からの期間には必ずしも影響を受けるものではないとされています)

 

もっと脳梗塞・脳出血のリハビリについて詳しく知りたい方はこちらのサイトを参考にしてみてください。かなりの情報量があるので、とにかく知識を増やしたい人にはオススメです。

Evidence-Based Review of Stroke Rehabilitation(根拠に基づく脳卒中リハビリテーションのレビュー)
カナダのWestern Ontario大学のDr.Robert Teasell らが作成している「Evidence-Based Review of Stroke Rehabilitation」は、その情報量と吟味された根拠の質 (エビデンスレベルの高い)は国際的にも評価が高いとされています。これを日本語訳して公開したものがこちらのサイトになります。

 

 


と、いうことで今回の記事は
「 脳梗塞の麻痺に対するリハビリまとめ-川平法やCI療法など-」でした!
コメント、違う視点からの意見、質問など大歓迎です。お気軽にどうぞ。

今回の記事を見ていただいた方には
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ぜひ見てあげてください〜〜