脳卒中の麻痺になった方は、何故ぶん回し歩行になるの?リハビリ方法は?

脳卒中片麻痺の歩行 医療

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脳卒中になってしまった方で、下肢に麻痺が起きた場合、ぶん回し歩行と呼ばれる歩き方になってしまうことが結構多いです。このぶん回し歩行、なぜこんな歩き方になってしまうのかよくわからないですよね。今回はその原因とリハビリ方法について書きました。

 

ぶん回し歩行とは?

言葉の通り、脚をぶん回す…振り回すようにした歩き方のこと。脳卒中になると結構な頻度で見られる異常歩行です。かなりわかりやすい動画がyoutubeに載ってました

やっぱりこの歩き方を改善したい、もっと綺麗に歩きたいという人はたくさんいます。

 

なんで脳卒中で麻痺になると、ぶん回し歩行になるの?

筋肉が使いにくくなっている

脳卒中で半身が麻痺になってしまうと、当然身体の筋肉の働きは悪くなってしまいます。

その筋肉の中でも、特に腸腰筋などの単関節筋と呼ばれる筋肉の働きが悪くなってしまいます。腸腰筋は重要な筋肉だといろんなところで紹介されているので、聞いたことがある人も多いかもしれませんが、股関節を曲げるのに大事な筋肉。その大事な筋肉が働きにくいため、ほかの筋肉を使って歩こうとするためにぶん回し歩行が生じます。

もう一点、筋肉が使いにくくなるケースで「筋肉の働き過ぎ」があります。脳卒中になると、力が入ったままの状態で、脱力しにくくなる場合があります。歩くときには筋肉の収縮と弛緩の繰り返しがありますが、この流れがスムーズにいかないので、脚を全部固めた状態で歩こうとしてしまいます。それがそのままぶん回し歩行に繋がっていくわけです。

足関節の硬さ、働きにくさ

脳卒中の麻痺になると、かなりの確率で足関節が硬くなります。さらに「底屈位」と呼ばれる状態で硬くなっていくケースが多いのもポイント。そうなると、歩く時にスムーズに体重を前に移していくことが出来ません。

足首の底屈位、背屈位
(足首がまっすぐな状態よりも下に向いたら底屈位、上に向いたら背屈位。下腿と直角なら中間位)

こんな状態で足首が固まってしまっているので、スムーズな膝の屈伸もままなりません。そのために膝関節を伸ばしたまま固定して、脚を振り回すような歩き方になるわけです。

ちなみにこの硬くなるパターンは、痙性麻痺と呼ばれる筋肉が張りやすいタイプの麻痺。常に筋肉が緊張していて、脱力が苦手な人がこの痙性麻痺ですね。

そしてもう一つ、弛緩性麻痺というのもあります。これは文字の通りで、弛緩してしまう状態。つまり、筋肉の力が入りにくく、ダラっと足首が垂れ下がった状態になります。この状態の麻痺でも、足首の動きがスムーズにいかないためにぶん回し歩行になってしまいます。

効率の良い歩き方

実は、脳卒中で麻痺になってしまった方にとって、このぶん回し歩行はエネルギー効率が良いんです。言い換えれば、ぶん回し歩行が普通に歩くよりも楽。なぜなら身体が硬くなり、筋肉の働きも悪くなっているから。普通に歩こうとすると結構ハードなのですが、それが出来ないからさらに変な筋肉の使い方になり、そして足首も硬くなってしまうわけです。

 

ぶん回し歩行を治すためのリハビリの考え方

筋トレに加えて、筋の再教育

筋の再教育…耳慣れない言葉だと思います。麻痺の方では筋肉が弱くなるだけでなく、力を抜くことが難しくなったり、力を発揮するタイミングが崩れたりします。

なので、歩く一連の動作の中で、力を抜く必要がある時は力を抜けるように、そしてタイミングが崩れているなら、良いタイミングで力を発揮できるように練習していく必要があります。

足首のストレッチ

足首が硬くなると、スムーズな歩行はかなり難しくなってしまいます。シンプルに、ひたすらに足首の柔軟性向上に努めましょう。

重心移動(荷重練習)

麻痺が生じているので、その麻痺側の脚には体重が乗りにくくなっています。これがぶん回し歩行に繋がる説明は少し難しいので省きますが…イメージは片方の靴の中にちょっと大きな石が入っている状態と思ってください。そんな状態で綺麗に歩くことはまず無理です。

石を取り除いていく必要があるのですが、その石を取り除く作業が筋の再教育や足首のストレッチ。
石が入っていた状態で歩く癖がついてしまっていたので、その癖を取り除くのが重心移動練習になります。

 

脳卒中片麻痺からくるぶん回し歩行の具体的なリハビリ方法

①腸腰筋のエクササイズ

腸腰筋エクササイズ

いわゆるもも上げです。このポイントは大きく上げること。上げれば上げるほど腸腰筋の働きが強くなるんです。
少し上げただけでは、腸腰筋以外の筋肉もたくさん使ってしまうため非効率的。上げ切ったところで抵抗をかけてあげると尚良しですね。10回×3セット、身体が後ろに傾いてしまう可能性が高いので、しっかり良い姿勢で行うようにしてください(姿勢が崩れると効果がなくなります)

もし高くあげるのが難しければ、抵抗を加えるのでなく手で上に上げるのを手伝ってあげてください。アクティブアセスティブトレーニングと名前がついているトレーニング方法で、無理にもも上げをするよりも効果的になりますよ。

②足首のストレッチ

いたってシンプル、アキレス腱のストレッチです。普通にアキレス腱を伸ばしてあげてください。
これは長い時間やればやるほど良いです。自分の足首の硬さに左右差があるなら、その解消が目標です。一度硬くなるとなかなか改善が難しいのですが、諦めずに頑張ってくださいね。

③ステップ練習

ステップ練習

これまたシンプルなステップ練習です。麻痺した足で前に踏み込む練習と、麻痺していない側の足で前に踏み込む練習の2パターン行なってください。

麻痺側で前に踏み込んだ時は、できるだけ踵から着地し、その後に足の裏全体で身体を支えるようにします。腰が踏み込んだ足の真上に来るぐらいまでいけるとベストです。

麻痺していない側で前に踏み込む時も、後ろに残る麻痺した足を意識してください。後ろの足で身体をしっかり支えながら、ゆっくりと反対足を踏み出します。ここの支えが効くことで、綺麗な歩き方に繋がっていきますよ。

④歩行練習(歩くことに慣れる)

最後は歩行練習。実は緊張するだけでぶん回し歩行になってしまうケースがあります。緊張する時肩がガチガチになりますよね?あれの脚がガチガチになるバージョンです。緊張をとるには慣れが肝心

歩き慣れていない人、バランスが悪い人は、歩くことに怖さがあるのでぶん回し歩行に繋がってしまう場合があります。「歩き慣れる」大事です。

あとはすでにしっかり歩く練習ができている人。この人の場合は歩く練習より上のステップ練習をしっかり行なってください。そしてそのステップ練習でやっているような身体の動きを、歩く練習でも実践していきます。
結構大変だと思いますが、身体の使い方の獲得は日々の積み重ねが大事です。日々意識して歩くようにすれば良いですね。

 

 


最後にですが、ぶん回し歩行の問題として「見た目」が一番です。実際それで安定して歩けている場合、無理して改善する必要がないケースも多々あります。なので「綺麗に歩くために努力を惜しまない!」、そんな人にこういった練習をオススメします。

 

と、いうことで今回の記事は
「脳卒中の麻痺になった方は、何故ぶん回し歩行になるの?リハビリ方法は? 」でした!
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今回の記事を見ていただいた方には
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ぜひ見てあげてください〜〜