認知症予防に運動が効果テキメン!ーボケない日々を送るための運動習慣とは?ー

ジョギング 介護

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アルツハイマー病の原因で一番大きいのは、運動不足って知っていましたか?
運動と認知症はかなり密接に関わっているので、運動をしっかり行っていけば「認知症予防」と「運動能力の維持」の一石二鳥です。

ぜひ日々の習慣に運動を取り入れていきましょう。

 

アルツハイマー病の原因は運動不足?

これ、実はそうなんです。さっそくですが、下の図を見てください。

アルツハイマー病の原因は身体的不活動(運動不足)
参考:
Barnes DE, Ya e K: The projected e ect of risk factor reduction on Alzheimer’s disease prevalence. Lancet Neurol. 2011; 10(9): 819–828.

この図を見てもらえばわかる通り、アルツハイマー病の原因で大きいのは身体的不活動。つまり、運動不足です。もちろん加齢も原因なんですが、それを除いたら運動不足が一番大きな原因です。

アルツハイマー病っていうのは「脳の萎縮」と言われていて、その脳の萎縮に運動不足が絡んでくるわけなんです。

そして認知症にはいろんなタイプがありますよね。
一旦それは置いておいて、認知機能と運動機能の関係を調べた研究は結構たくさん出ています。

  • 尹 智暎ら:高齢者における認知機能と身体機能の関連性の検討.体力科学 59: 313-322, 2010.
  • 谷口優:身体機能と将来の認知症との関連.老年社会科学 39(1): 72-78, 2017.
  • 山田実:運動と認知症予防.血圧 24(2): 110-113, 2017.

とりあえず3つ載せましたが、認知症と運動の関連を示した論文は、他にもたくさん見つけることが出来ます。
認知症の予防のためには運動が必要。運動しましょう!

認知症予防に効果的な運動とは?

認知症予防のための運動はいくつかのパターンがあります。
1つずつみていきたいと思います。

認知症予防のための運動の種類

認知症の予防にストレッチや筋トレなどの運動、バランス練習

これは…何をすればいいか説明する必要はあまりないかもしれませんね。
シンプルにストレッチや筋トレをしましょう。あとは片足立ちなどでバランス練習をしてあげます。こういった普通の運動も、認知症予防に効果が期待出来ますよ。

ちなみに運動による脳機能の改善についてですが…

運動は、脳由来神経栄養因子(brain-derived neuro-trophic factor;BDNF)の産生を促進し,海馬領域の可塑的変化をもたらし,認知機能低下の進行を遅延させるとの報告があります。
Erickson KI, et al:Brain-derived neurotrophic factor is associated with age-related decine in hippocampal volume.J Neurosci , 30(15):5368-5375,2010.

簡単に言えば、運動で脳みそに良い物質が出るから認知症の予防ができる。そんな感じです。

認知症の予防に考えながら運動

次に考えながらの運動です。「コグニサイズ」というのを聞いたことはあるでしょうか?

認知機能に関わる課題と運動の課題を同時に行うことで、脳と運動機能を効率的に改善させようというもの。
内容は動画を見ていただけたらと思います。

そのほかコグニサイズの詳しいやり方などは、国立長寿医療研究センターが出しているこちらの資料を見てもらえたらいいかなと思います。http://www.ncgg.go.jp/cgss/department/cre/documents/cogni.pdf

認知症の予防に有酸素運動

これまた研究ですが、

高齢者の持久力と認知機能の関係性を解明することを目的に,健常高齢男性60名を対象に,運動負荷試験による換気性作業閾値の測定とストループテストによる認知運動課題テストを行った.その結果,持久力が高いほど認知機能が高く,持久力と認知機能が高い高齢者は若者型の脳機能を保ち,認知機能が低い高齢者は加齢型の脳機能へ変化していた.このことより,高齢者の持久力を維持および高めることは,認知機能向上および認知症予防に繋がる可能性が示唆された.

Hyodo K,et al:The association between aerobic fitness and cognitive function in older men mediated by frontal lateralization. Neuroimage,125:291-300,2016.

簡単に言えば、体力のある人ほど認知機能が高かった
これと同じような研究はたくさん出ていて、体力をしっかりつけてあげることで認知症の予防に繋がると考えられます。

だから有酸素運動を行う。可能ならジョギングなど、もしそれが大変なら、やや早い速度でのウォーキングなんかがオススメですね。ちなみに健康という面で、ウォーキングの歩数は6000~9000歩がオススメです。
1日一万歩は歩き過ぎ!?ベストな歩数は6000~9000歩!?

 

認知症の予防に目標を決める

ここは「考えながら運動」の項目にだいぶ似ているところです。違いをあげるなら「考えてから」運動すること。

考えてから運動で認知症予防

目標を決めてから運動する。
これは、自分で決めた目標を達成するまでのプロセスが大事。目標をクリアした時の喜びが脳の活性化に繋がり、認知症予防に効果的となるわけです。

認知症予防の運動で一番のオススメは?

あくまでBOZUのオススメで、一番効果的という意味ではないです。(一番効果的なのは…まだ解明されてないと思います)
比較的簡単に出来て、比較的続けやすいことを意識です。大事なことは「継続すること」だと思っているので、自分にあった運動が継続できるなら、それを優先してもらえたらと思います。

さて、認知症予防の運動でBOZUのおすすめですが、

「頭を働かせながら、速めの速度のウォーキングもしくはジョギング(有酸素運動)」

です。この「頭を働かせる」ところがポイント。

  • 今日はここからスーパーまで10分で歩こう。そのルートは…
  • 今日のご飯は魚の煮付けにしよう。家に残っている調味料はしょうゆとみりんと…
  • 綺麗な歩き方を意識しよう。その中で今日は一歩一歩を大きくして、大股で歩くことを課題にして…
  • 昨日の朝ごはんはパンで、昼ごはんにそばを食べて、夜は焼き鳥だったよな。
  • 来週の予定は月曜日は〇〇さんとお茶して、火曜日は…
  • 今株価が〇〇だから戦略は…
  • 今日帰ったあとはまずテレビを見て、ご飯を食べて、寝る時間は21時くらいを目標にしようか
  • 最近趣味が見つからないから、ジム行ったり山登りしたりしてみよう。まずは〇〇を…
  • 5×3×8×9は…

などなど、適当に書きましたが、頭を働かせながら有酸素運動を行います。毎日の散歩に、ちょっとした負荷を加えてあげることで認知症予防に意外な効果が現れてきますよ。考える内容も、その日によって違うパターンにしてみましょう。

認知症予防に考えながら運動

 

また、可能ならもちろんスポーツもおすすめです。
複数人で行う競技は、認知症予防にすごく良いですし、ご家族さんとゴルフなんてのも良いですね。

家族でゴルフ

 

ちょっといいのを見つけたので、紹介。こういった認知症と何かをしながらの歩行に関する研究の引用です。

東京都健康長寿医療センター研究所の桜井良太研究員とカナダウエスタンオンタリオ大学医学部のManuel Montero-Odasso教授らの共同研究グループは、簡単な暗算などの認知的負荷がかかる課題を遂行しながら歩行(2重課題条件下での歩行)した際に、歩行速度が遅くなる高齢者ほど嗅内野の萎縮が進んでいることを明らかにしました。

最近、軽度認知障害(Mild Cognitive Impairment: 以後MCI)と呼ばれる、認知症ではないが、認知機能が年齢相応よりも低下した状態にある高齢者(正常域の認知機能に戻る可能性もあるが、認知症に移行するリスクも高い高齢者)では、2重課題条件下での歩行時に歩行速度が顕著に遅くなる者ほど将来の認知症発症リスクが高いことをManuel Montero-Odasso教授らの研究チームが明らかにしました。しかしながら、その神経学的背景については明らかではありませんでした。そこで我々の研究チームではMCIの高齢者を対象に、2重課題歩行検査に加えて、脳構造を調べることができるMRI検査を行いました。この研究では、加齢に伴い早期に萎縮が始まり、特に認知症患者で特異的に萎縮が認められる「海馬」と「嗅内野」という脳部位(記憶を中心とした認知機能を司っていると考えられる脳部位)に着目して、2重課題歩行検査の成績との関連性を検討しました。その結果、2重課題歩行時に歩行速度が遅くなる高齢者ほど左側の嗅内野の容量が萎縮していることが明らかになりました(通常の歩行速度とは関連なし)。

東京都健康長寿医療健康センター

 

認知症予防の事例紹介

今まで僕が診た患者さんの事例紹介です。

-認知症予防を意識して運動を行なったケース(70代女性)-

  • 疾患:足の骨の骨折
  • 経緯:入院にて手術。退院後訪問リハビリ開始。入院中にやや認知症の雰囲気が出てきたと本人・家族ともに心配されている。
  • 訪問のリハビリで実施したこと:
    屋外歩行練習(歩く前に目標を決める、お話をしながら、簡単な計算問題を出す、声かけに合わせ歩くリズムを変えてもらうなど)、足の可動域運動、筋力トレーニング、バランス練習
  • 結果:
    家での生活の経過と共に認知機能も少しずつ改善。本人・家族ともに「入院前と変わらない」と思うところまで戻ることが出来た。(もちろん実施したリハビリはロコモ予防にも繋がっています)

今回は入院中に認知機能が落ちたパターン。もともとはしっかりしている方だったので、たまたま回復が得られたケースです。

ただ、今回のケースは稀。正直、認知症は改善が難しいです。むしろ脳の萎縮が進んだら改善はほとんどしないと考えられています。本当に…基本的に認知症は良くなってくれません。なので認知症は改善を目指すのではない。予防を地道に実践していくことが大事なんです。

そしてもし認知症の初期症状が出始めたら、しっかり「頭を使いながら歩く」習慣をつけること。
脳の機能低下を出来る限り予防しましょう。

認知症予防のための運動で、批判的な研究もある

今回、認知症に対する運動の効果を出してきましたが…実は効果がないという海外の研究もあります。

軽度~中等度認知症に対する、中~高強度の有酸素運動と筋力トレーニングのプログラムの介入には、認知障害の進行を遅らせる効果はないことが、英国・オックスフォード大学のSarah E. Lamb氏らによる無作為化試験「Dementia And Physical Activity:DAPA試験」の結果で示されました。筋トレのプログラムで体力の改善は認められたが、その他の臨床的アウトカムの明らかな改善は認められなかった。
Dementia And Physical Activity (DAPA) trial of moderate to high intensity exercise training for people with dementia: randomised controlled trial.Lamb SE, Sheehan B, Atherton N, Nichols V, Collins H, Mistry D, Dosanjh S, Slowther AM, Khan I, Petrou S, Lall R; DAPA Trial Investigators.BMJ. 2018 May 16;361:k1675. doi: 10.1136/bmj.k1675.

ただこの研究では、中〜高強度の運動。運動強度が強すぎると抗酸化系以上に酸化ストレスが発生し、その結果認知機能障害がより促進すると言われています。大事なのは、「考えながら」運動できるような負荷量かもしれませんね。

 

運動プログラムが認知症の人の日常生活能力を改善することを示す複数のエビデンスがあったが、試験結果には原因不明のばらつきが多かった。研究では、認知、心理学的症状、うつ病に対する運動の利益を示すエビデンスはないことがわかった。この他のアウトカムに関するエビデンスはほとんど、もしくはまったくなかった。運動が参加者に有害であることを示すエビデンスはなかった。大半の結果が基づく全般的なエビデンスの質は、極めて低いと判断した。
コクランライブラリーより

コクランライブラリーっていうのは、論文の世界ではかなり権威のあるもの。この論文の著者さんの言葉で

「運動プログラムが認知症の人のADL能力を改善する可能性を示す有望なエビデンスはあるが、これらの知見の解釈には注意を要する。」

ともありました。
言葉の解釈は様々ですが、とりあえず「認知症に対して運動に対する効果がない」と否定されている訳ではありません。
さらに、認知症が進むのは寝たきりや入院時など。そういった状況を避けるために運動は必要なので、間接的には運動の効果は期待して大丈夫です。
今後の研究に期待したいところですね。

 


と、いうことで今回の記事は
「 認知症予防に運動が効果テキメン!ーボケない日々を送るための知識ー」でした!
ちなみに運動は認知症予防に加えてうつ予防にもなるとも言われています。もちろん運動で体力がつくのは言うまでもありません。
ぜひ運動習慣を作ってくださいね。

今回の記事を見ていただいた方には
物忘れがひどい!?入院するときにボケない方法-認知症予防-」もおすすめです。
ぜひ見てあげてください〜