介護、在宅の現場でIT化や業務効率化が進まない理由-訪問看護の視点から-

砂時計 日常

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在宅、介護の現場はびっくりするほどローテクです。
いまだにファックス文化、紙ベースでほとんどの業務が進んでいきます。そして訪問看護、訪問リハビリの領域で働いているにも関わらず、グーグルマップが使えない人もいます。

これって言うまでもなくすごい問題だと思うんですよね…
今回はこういった在宅・介護分野で効率化が進まない理由を「訪問看護」の視点から捉えてみました。

 

ケアマネという存在

先に挙げた通り、未だに訪問看護の現場ではFAXが必須アイテムです。わざわざパソコンで資料を作って印刷してからFAXしています。これ、訪問看護、リハビリの事業所では辞めたいと思っているところがほとんどじゃあないでしょうか!?

でもケアマネさんの連絡手段の基本が電話とFAXです。訪問の事業所は、ケアマネさんから利用者さんの紹介をいただくので…そこに合わす必要があります。(ケアマネさんの事情は下記します)

FAXをもし辞めるなら、若い年代層ならチャットアプリ、その上の世代ならメールが頭に浮かぶと思います。今の時代ならトークノートチャットワークスラック、もちろんラインも色々あります。

個人的にはスラックで業務ができればありがたいんですが…こういったアプリで活動できるようになるにはあと何年かかるでしょうか…

 

看護という仕事の特性

ITツールを使いこなすには、若干勉強が必要なことが多いです。勉強家の看護師さんはもちろんたくさんいますが、そんな方々の勉強する意欲は基本的に医療関係のこと。現場の看護師さんたち、それ以外の勉強はあまり興味ない人が多いかなと、そんな印象を持っています。

これはフィードバックの流れに関係があると思っています。

医療の勉強をすれば、それをすぐ患者さんに実践することが出来、なおかつ即座にフィードバックがあります。患者さんにも勉強してきたことを話すと喜ばれるので良い好循環につながっていきます。

対してシステムや効率化の勉強をしても、それを実践するのは大変です。効率化というのは一人ではなくチームで行うものなので、周囲の人を巻き込んで実践しないといけません。すると必ず反対勢力が出てくるんです。「今のままで運営出来ているんだから、わざわざ新しいことしなくていいじゃん」的なやつです。

これを説得して効率化の仕組みを導入しても、慣れるまではまた大変です。もともとシステムに理解の乏しい方々が多い業界なので、懇切丁寧に説明しても「わからない」とサジを投げられたり、不満に繋がっていくんです。

この医療の勉強と、システム・効率化の勉強を比べれば、個人としての満足度が上がるのはやっぱり医療の勉強だからシステムに対する理解が進みにくい一面があると思っています。

 

年齢

年齢というと乱暴な言い方になるのですが、わかりやすくストレートに表現しました。
システムを使いこなせる層は明らかに若手層です。ベテラン層は「新しいことしなくても運営出来ている」という頭の中です。加えて一部ではありますが、プライドの高いベテランたちは、あまり若手から教わるというのを好んでいません。言葉では「教えてほしい」といっていても、心理的に拒否しているように感じます。

「わざわざこんなん導入する意味ある?今のままでいいじゃん」と言うベテラン層がいたとして…でも、非効率の被害を受けているのは若手層。細かい業務や雑用などは若手が引き受けているところが多いので、余計にベテラン層には当事者意識が欠けていってしまうわけです。

 

コンフォートゾーンから離れたくない心理

さきほどから出ている「現状のままでいいじゃん」という心理がこれにあたります。人間、慣れている状態が一番心地よいとされています。新しい刺激を好む人もいますが、基本はそうじゃありません。

コンフォートゾーンのイメージ図

この真ん中のゾーンに入っていると、心地よいために離れたくない。つまり、今まで慣れた業務から「IT化」や「効率化」を図ろうとするときのストレスが不快に感じてしまうわけです。

 

すぐ人が変わっていく環境

ここは事業主目線です。システムを整えようと社員を教育したとしても、看護師さんの定着率はすごく悪いです
(ここ、すごく言いたいことがある。よく世間一般では看護師がハードだから離職が激しいと言いますが、他にも激しく働いている女性はたくさんいます。それこそBOZUには朝から終電まで働く友人女性も結構います。夜勤は確かにハードだと思いますが…ただ在宅の現場ではリハビリスタッフより患者さんを診ている数が少なくても辞めていきます。だいたい皆さんが言うのが、それほど大きなポイントと思えない愚痴。「辞めてもどこでも働ける」マインドがあるんですね。看護師の定着率をあげるためには、職場の負担軽減が必要とか言われますが、個人的にはズレているなと思います。ちなみにリハビリも最近定着率が落ちてきている印象があります)

え〜…とにかく、せっかく教育しても人が離れていくなら教え直しがたくさんあるので、IT化や効率化が進まないと言う話があります。

ちなみにですが、今はこういった新人教育に関するITサービスも出ています。teach me bizさんとか。

 

ケアマネさん(居宅介護支援事業所)でIT化・効率化が進まない理由

ここでの理由も基本的に、訪問業界と同じような内容になります。ただ、平均年齢は訪問業界よりも高い印象はあります。

加えて、「患者さん層の年齢」が高いことも理由だと思います。仕事をする対象、サポートする対象は患者さん層。つまりおじいちゃんとおばあちゃんが多いです。そうすると、メインの仕事相手がIT化と縁のない方々。ITに触れる機会の少なさは、そのまま使う意欲の低下に繋がります。

そしてもう一点、「職場の人数」も影響しています。少しずつ制度が変わってきているのですが、今までは一人職場のケアマネ事業所ってかなりの数がありました。複数人いる職場なら中にはITに興味のある人がいるケースがありますが、一人職場なら全て自分次第。看護のところでも挙げましたが、勉強する意欲が湧くのは患者さん(利用者さん)に関してです。

こういったところから、居宅介護事業所もあまりシステム化が進んでいかないんだと考えています。

 

じゃあどうすれば効率化、システム化が進むのか

  1. 世代交代
    一番確定的なのはこれだと思います。柔軟に取り組める世代が管理側に変われば一気に進むと思います。
  2. 国の施策
    国が決めれば従うしかありません。
  3. 課題感の強い、エネルギー溢れる若手のだいとう
    今の非効率に対して不満を感じている人はたくさんいます。ですが、危機感を感じている人は一気に少数になってしまいます。エネルギーをもって効率化を進めていける人は、不満ではなく危機感を持っている人。そんな若手がどんどん出てくれば、一気に効率化がすすんでくると思います。
  4. 圧倒的に使いやすいシステムが出来る
    誰もが直感的に、そしてスムーズに使えるシステムが出来れば当然導入が進みます。でも、これを作るなら対象が50〜70代が使いやすいものを作らないといけません。若者が使いやすいものと、団塊の世代が使いやすいシステムは全然デザインが変わってくると思うので注意が必要ですね。
  5. 医療制度の崩壊(に近いもの)
    これが起きれば業界は変わると思います。業者は今まで自分たちに都合の良い形でサービスを提供していけたのですが、徐々に患者側目線に変わってきています。この背景は、医療者・介護側のモラルが向上してきたところが大きいのですが、でも医療者が選ばれる時代に入ってきたというのも大きそうです。より良いものを提供しないといけない状態になれば、効率化をして余力を作り、そしてより必要なサービスにが必須事項になっていくかもしれませんね。

 


最後になりますが、一点だけ大事なことを書いておきます。
現在の医療・介護に置いて、効率化は必須事項だと思っているのですが、そもそものところで「人と人のコミニュケーション」という面では効率化しない方がよかったりもします。
相手のために自分の時間を使うことで、印象が良くなるのでコミュニケーションが円滑に進むわけです。

何もかも効率化するわけではなく、非効率を受け入れるところもあって良いのではないか…
そんな風に思います。

 

と、いうことで今回の記事は
「 介護、在宅の現場でIT化や業務効率化が進まない理由-訪問看護の視点から-」でした!
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