捻挫のハイレベルな応急処置。今までの処置よりももっと高みへ。

医者 医療

この記事を読むのに必要な時間は約 8 分です。

応急処置、「いざ!」という場面に出くわすとなかなか上手く対応出来ないものです。今回はそんな応急処置の中でも「捻挫」にフォーカスを当ててみました。癖になる捻挫を防ぐためには、初期対応が肝心。普通のRICE処置よりも、もう一息良い応急処置を行いたいですね。

 

そもそもの捻挫についてはこちらに書いてあります。
足の捻挫って何?癖にならないためにはどうする!?
かなり詳しく書いてあるので、捻挫についての知識を増やしたい方は是非ご覧ください。

 

足の状態の判断

応急処置において、まずここが最初のポイント。
状態の判断は…なかなか難しいところなのですが、病院へ連れて行くかどうかを判断できるようにしたいですね。そのためにまず、足を痛めた時に多い診断名を知っておきましょう。

  • 多い
    外側靭帯損傷
  • それほど多くない
    内側靭帯損傷
    関節包前部損傷
    骨折(外果、内果、中足骨、距骨など)
    足関節脱臼
    腱断裂/脱臼
    脛腓靭帯結合損傷
    成長軟骨板損傷

です。とりあえず足を痛めた時によくあるのが外側靭帯の損傷。痛みの場所をよく聞いて、足の外側ならこの靭帯損傷を疑います。加えて、

足の捻挫
こんな感じでひねった場合はかなりの確率で外側靭帯損傷(場合により骨折も複合している場合あり)です。受傷起点を聞くことも大事ですね。

足の外側靭帯
図:プロメテウス解剖学アトラス

そのほか、逆に内側が痛い場合は骨折の可能性があるし、アキレス腱部分が痛い&ブチっと音がしたならアキレス腱断裂や損傷も疑わないといけません。

なかなかこの判断をしたとしても間違っているケースがよくあるので、自分の考えた診断名を過信しないようにしたいですね。

次に、骨折と捻挫の見分け方です。
これは捻挫してからすぐであればある程度の判断が可能です。捻挫してすぐなら

  • 断裂した靱帯部分の圧痛=靱帯損傷(捻挫)
  • 踵などを叩打し、内果や外果へ疼痛が波及=骨折

という形で考えてある程度は大丈夫です。ただ、足に腫脹がみられてくると…捻挫と骨折の判別は基本的に困難。

そしてもう一つ大事なことは、捻挫でも骨折でも医療機関の受診はしておくべきです。
足のケア、大事にしたいですね。

 

捻挫の応急処置で大事なこと

捻挫の応急処置で大事なことは、「損傷靱帯の保護」です。

当然、基本的には安静にすることが大事です。…が、実はただ安静にし過ぎるのもよくないんです。

どんな環境でも確実に損傷靱帯の保護が可能とされるのはギプスですね。このギプスの固定期間は怪我の程度によって様々で、その期間は8〜10週、6週、3〜1週といった形です。そしてこれは徐々に短縮されている傾向にあります。

靱帯や腱の修復過程では生理的な関節の動きが治癒を促進する

というものがあり、ただひたすら固定すれば良いわけではないことが示されています。動かすことで血流も上がり、また組織の癒着を予防出来るわけですね。

炎症反応の抑制

炎症反応の抑制と書きましたが、「内出血をできるだけ防ぐ」と言いかえても良いかもしれません。

捻挫で靭帯が損傷すると、靭帯と周囲の関節包を通る血管が切断されるため出血が起こります。毛細血管も切れてしまうため、足の中で出血が起こっている状態ですね。この出血から腫脹(腫れ)に繋がり、そのその腫脹が回復を遅らせてしまうんです。

なので、「出血と腫脹を最小限に抑える」ことが必要なんです。

ここで必要なのがよく言われるRICE処置。最近はPRICE処置とも言われます。みなさん、このRICE処置のこと自体は知っていると思うのですが、もっと細かく知っておくと良いですね。

とりあえず、

Protection:保護
Rest :安静
Ice :冷却
Compression:圧迫
Elevation:挙上

ですね。Protectionの保護に関しては、捻挫の場合、靱帯にストレスを加えない状態での固定や管理のこととなります。

圧迫のススメ

さて、このRICE処置。

これらの初期介入のうち、出血を抑えるのに最も重要な処置はおそらく圧迫である。
FIFA医療評価研究センター

とされています。もっとも重要な処置は、「圧迫」なんです。
捻挫をしたら直ちにPRICE処置を開始し、以後24〜48時間圧迫を継続すれば、靭帯損傷による出血や腫脹を大幅に抑えることができると、このFIFA医療評価研究センターでは述べられています。

まずは…
シンプルに…
ただ純粋に…

手で圧迫する。

そして可能なら、弾性包帯などでの圧迫を行うと良いですね。加えて、スポンジやガーゼを損傷部位付近(外果周囲)に当てた状態で弾性包帯を巻くとgoodです。

足の圧迫スポンジ
森永敏博ら:スポーツにおける足関節靱帯損傷とリハビリテーション

そうやってスポンジを使うと、むくみが出やすいのがその外果の周りなので、そこが膨らまないように圧迫出来るんですね。(写真はちょっとイケてないですが、こんな感じのU字のスポンジを当て、しっかり弾性包帯で巻くようにしてください)

より圧迫が可能となり腫脹の抑制が可能になります。

固定のポイント

次に、固定のポイントです。足関節底背屈中間位(足首が90°)で巻くのがまずはスタンダードですよね。

でも、実は捻挫の固定は軽度背屈外反位が良いとされています。中間位だと、靭帯側の組織に隙間が出来るケースがあり、正常な形ではない感じで癒着してしまうんです。

背屈外反位=足の小指側が少し上に上がった状態のこと

足の位置による外側靭帯の緊張

アイシングを作る時のポイント

アイシングを作る時のポイント

①ビニール袋に氷を詰める
②患部にあった形状に並べる
③袋の中の空気を吸い出す(冷却効果のムラをなくす)

時間
15〜20分(感覚がなくなるまで)当て、感覚が戻ってくるまで休憩する。
感覚が戻ってくるともう一度アイシングを行い、休憩する。この繰り返し

アイシングの効果について

そもそもなぜ冷やすのが良いのでしょうか!?これは血管を収縮させ、その収縮した血管が元に戻る際ダメージを受けた細胞を一気に流し、正常な細胞と入れ替えるためとされています。

損傷時に生じる活性酸素は強い殺菌作用があるものの、過剰分泌により炎症を助長させていきます。アイシングにより、その出過ぎる活性酸素の活動を防ぐ作用もあります。

 

湿布っていいの?

これはシンプルな疑問ですよね…ちょっと知っている人なら

「温湿布と冷湿布がある。温湿布はあっためる作用で冷湿布は冷やす作用」というのは聞いたことがあるかもしれません。やから急性期でも冷湿布ならいいよ〜って言われますが…これほんまでしょうか?

冷湿布の成分は

  • メントール…
    冷感を引き起こすTRPM8と呼ばれる受容体活性化チャネルを刺激。また、局所血管拡張作用もあるが、実際の冷却効果はない。
  • カンフル…
    血行促進作用や鎮痛作用、消炎作用
  • ハッカ(ミント)…
    すーっとする

つまり、アイシング代わりの冷湿布の場合、実際に冷やしているわけじゃなくてそう感じさせているだけのようです。
血管拡張作用で良くなる面はあるかもしれませんが、実際冷却そのものによる効果は期待出来なそうですね。

 

いつまでが急性期?

怪我をした直後(急性期)は冷やすようにして、それを超えたら(慢性期)温めるのが大事と言われます。

その損傷後の一連の流れとして、ちょっと言葉が変わるのですが…

  • 急性炎症期は受傷直後から72時間
  • 増殖期は6週間(損傷部位が肉芽組織へと変化)
  • 成熟期は数ヶ月(肉芽組織が瘢痕組織に置き換わる)
  • 修復靱帯のリモデリングの全過程には6〜12ヶ月

と言われています。
この炎症期は冷やすように、増殖期は無理のない範囲で動かし、成熟期は瘢痕組織に変わらないようにしっかり動かしていく。
ただし靭帯が元に戻ってくれるのには6〜12ヶ月の期間があるので、それを頭にいれたまま運動をすることが大事です。

 

 

 


と、いうことで今回の記事は
「 捻挫のハイレベルな応急処置。今までの処置よりももっと高みへ。」でした!
コメント、違う視点からの意見、質問など大歓迎です。お気軽にどうぞ。

今回の記事を見ていただいた方には
足の捻挫って何?癖にならないためにはどうする!?」もおすすめです。捻挫のメカニズムや再損傷の予防について書いてます。
ぜひ見てあげてください〜〜