訪問リハビリの効果をデータで語る-介護度改善の唯一の方法-

お年寄りの手 介護

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訪問リハビリの効果って、聞いたことありますか?

「介護度改善に効果あり!必須でしょっ!!!」とか「なんとなく必要だと思う…」といった方、いろんな考え方があると思います。

と、いうことで今回は「訪問リハビリの効果」についえ、論文を調べてみました。
結果として、「介護度の改善」「生活範囲の拡大」「身体能力の改善」などについて、効果があったとされるものがほとんど!(これらを総合して捉えた論文は見当たらず…もし知っている人がいれば教えてください)

ただ念のため付け加えておくべきなのは、訪問リハビリは効く人には効くが、効かないケースも多々ある。ということ。
効かないケース…そもそも病状が悪くなったらリハビリの効果なんて吹き飛んでしまいます。
そしてBOZUの経験上、「本人に意欲が乏しい&家族がいないケース&栄養状態が悪い」ようなケースでは、介護度の改善や能力の改善に至るケースはかなり稀です。

 

論文1:訪問リハビリテーションにおける日常生活活動と生活空間の向上に関連する要因の検討

ー概要ー
訪問リハビリの利用者の生活機能の変化を検討したもの。

ー結果ー
発症から一年経たない人達は、訪問リハビリによって日常生活の自立度が上がって、生活範囲が拡大した。ただし、発症から一年経過した方々に対しては訪問リハビリを行なってもそれほど改善がみられなかった
発症からの期間別の生活機能の評価

FIM合計変化量の関連要因分析

ーBOZUポジティブ考察ー
まずはこの研究、訪問リハビリの頻度が月に4時間程度だったことが気になります。
だいたい週に一回のリハビリ…もしこれが週に二回だったらもっと良い結果が出そうですね。
そして発症からの期間が短ければ効果あり。退院した直後からリハビリをしてあげることで、より改善がみられるということ。この論文は2013年に出たもので、現代は「より早く退院」する流れになっています。そう考えたら、この訪問リハビリの効果は、論文が出た時よりももっと上がってきても良い気がします!
発症から一年経過すると日常生活や生活範囲の拡大に訪問リハビリが効果ない可能性が示されました…が、ポジティブ解釈するとそれ以外には効果あるかもしれません。例えば

  • 家族の心理負担が減ってる
  • 本人の生活の不安感が減ってる

このあたりは間違いないと思っています。
そして、同じ動作をした時の疲労度が減っていたり、痛みの改善に繋がったなどなど、この研究で見れなかったところに改善が得られた可能性はあります。さらに言えば、発症から一年未満と一年後以降では訪問リハビリの実施量が全然違います。量を増やした場合にどうなるかは知りたいところですね。

参考:
上岡裕美子ら.訪問リハビリテーションにおける日常生活活動と生活空間の向上に関連する要因の検討 ―茨城県内多施設共同調査より―:
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine 50(10): 831-839, 2013.

論文2:訪問リハビリ継続利用2年以上の要介護度認定者に置ける経年的変化

ー概要ー
訪問リハビリを長期利用した場合、身体はどうなっていくのかを調査

ー結果ー
介護度が維持、もしくは改善した人の割合はだいたい90%。
また、動作能力は改善がみられ、寝たきり度も改善した。
訪問リハビリ開始時からの介護度の推移 訪問リハビリ開始からの利用効果

ー医療BOZUのポジティブ考察ー
この論文だと、BOZUがポジティブになるまでもなく、訪問リハビリに対して結構ポジティブに捉えてOKでした。
こんなポジティブな結果になった理由は、急変した患者さんの状態を、急変前のデータで統計したからだと思います。データに操作が加わったと言うことも出来ますか、急変されたらそらぁ全部データが悪くなるので仕方ない気もします。
とりあえず、訪問リハビリを長期間やることで、介護度が改善して、動作能力が上がって、寝たきり度も改善する
そんな結果でした!

参考
瀧口道生ら.訪問リハビリ継続利用2年以上の要介護度認定者における経年的変化:JOURNAL OF CLINICAL REHABILITATION 25(12): 1218-1222, 2016.

論文3:十和村介護保険制度下における各種居宅サービスの効果の検討

ー概要ー
村の要介護者に対して、各種在宅サービスを使った場合の介護度の変化について調べた

ー結果ー
訪問リハビリは、要介護度の改善に対する有効性が示唆された。しかし、そのほかの訪問看護や通所介護などでは要介護度の改善には繋がっていないとの結果
一年間の要介護度の変化と各種居宅サービス利用の有無・回数との関連

ー医療BOZUのポジティブ考察ー
リハビリの目的の一つは、身体の機能を向上して自立度を高めること。看護や介護はそもそも介護度を改善するわけではないですよね。さらにこのデータから、リハビリの回数が増えれば介護度の改善に繋がることが示唆されました。そもそも回復期病院でしっかりリハビリを行うと効果があるとデータが示していたわけで、訪問リハビリでも同じような結果になるのはある意味当然ですよね。

参考
栗山 裕司ら.十和村介護保険制度下における各種居宅サービスの効果の検討:
高知リハビリテーション学院紀要 8(): 19-26, 2006.

 

論文4:訪問リハビリ開始から6ヶ月間の効果 -介入時期と疾患別FIM値の動向から-

ー概要ー
日常生活でどれくらい動けているかを判断する「FIM」という計測方法を使って、訪問リハビリの効果を検討した

ー結果ー
訪問リハビリを早期に介入することで、日常生活活動に関して訪問リハビリの効果が得られた。ただし廃用群に対しては効果が認められなかった。
訪問リハビリ開始から3ヶ月,6ヶ月のFIM値の変化、疾患別の変化

ー医療BOZUのポジティブ解説ー
廃用群…つまり寝たきり群のことですね。今回取ったデータは「FIM」という日常生活活動を調べるもの。身体能力や介護度を調べたものではありません。四肢の筋力は動作能力が上がったり、疼痛が減ったりといった別のデータを取れば、廃用群でも効果がみられた可能性はあります(もちろん日常生活を変えるのがリハビリの本質的な目標ではあります)。
廃用群ではややネガティブな結果になってしまっていますが、反面脳血管障害や運動器疾患の方には効果がみられています。リハビリで日常生活の活動が楽になる…いいことですよね。

参考
水上正樹ら.訪問リハビリ開始から6ヶ月間の効果 -介入時期と疾患別FIM値の動向から-:
みんなの理学療法 24(): 53-55, 2012.

 

訪問リハビリの効果まとめ

これらの論文と、これらが引用していた別の論文もみまして…
やっぱり「在宅生活を送る方々にリハビリは大事」と再確認しました。
介護度の改善や、身体能力の改善、生活範囲の拡大など、多岐に渡る効果が確認されているので、今後もしっかりとリハビリを世間に認知させ、実践していく必要性を感じました。

ちなみにですが、正直どうしてもリハビリの効果が得られない人はいます。
本人の意欲が低かったり、病状が著しく悪化してしまっていたり…そういったケースで介護度の改善を図るのはかなり難しい。

そんな例外はあるにせよ、一般的にはご高齢の方々に対して「現状維持」であればかなりの効果が期待できるのではないでしょうか。
そして一部の人々に対しては、リハビリによって動作能力の改善・日常の生活範囲の拡大が得られ、介護度の改善にも繋げて行くことができる

在宅医療は、病院での医療ましてや最先端医療に比べて社会保障費をかなり抑えることができます。
その在宅医療の中で、積極的にリハビリを行って身体とココロの改善が得られたらなと思います。

 

と、いうことで今回の記事は「訪問リハビリの効果をデータで語る-介護度改善の唯一の方法- 」でした!
今回の記事を見ていただいた方には「理学療法士の不遇に対する愚痴&高齢化社会の理学療法士の活躍を想像する」も見ていただきたいです。

これだけ社会的に必要なリハビリ職。もっと世間に知っていってもらいたいですね。