小学生の姿勢の現状と、学校で出来る改善のためのアプローチ

小学生が勉強する時の姿勢 健康

この記事を読むのに必要な時間は約 12 分です。

今、子供の姿勢が乱れてきています。スマホを使う習慣や、運動不足などが原因ですが、この姿勢の乱れは大人になった時に結構弊害が大きいです。今回は学校現場での姿勢に関する問題を中心に、現場で取り入れられる改善アプローチを書きました。変な姿勢の子供、減らしていきたいですね。

 

今の時代の小学生の姿勢は乱れている?

まず、今の小学生の姿勢についてですが、

  • 1979年では44%、2005年には75%の小学校教諭が児童の姿勢が悪いと感じている。
    (日本体育大学・学校体育研究室)
  • 長野県の小学校で6年生では部分的に柔軟性の低下が認められ、不良姿勢に悩みを抱える学生がいる
    (塚原悠介ほか:小学生への良姿勢指導の活動報告,上田整形外科クリニック,2013)

とのこと。小学生の姿勢は昔に比べてどんどん悪くなっているイメージがあるのですが、先生や生徒自身でその姿勢の乱れを感じている傾向にあるようです。

 

姿勢が悪いとどうなる?

姿勢が悪いと、小学生に限らずいろんな弊害があります。ここでは一般的な問題を4つの視点から紹介しますね。

  • 骨の歪み
  • 集中力の低下
  • 内臓の機能低下→便秘や下痢
  • 肩こり、腰痛

骨の歪み

背骨の歪み

 

まずはここですね。背骨が歪んでしまう問題。姿勢の乱れなら改善は行えますが、背骨がここまで歪んでしまうと改善がかなり難しくなります

集中力の低下

姿勢の乱れは集中力の低下に繋がります。

猫背になり、呼吸が浅くなると、血流の流れの低下を引き起こし脳に酸素が行き渡りにくくなる。それが 思考を停止させる原因になる。また、骨盤の歪み、筋肉の緊張から、血液や体液の循環が悪くなり、自律神経が乱れることで首や肩に痛みが出る
(安藤ら:姿勢改善のための社会的システムの構築.政策フォーラム,2013)

集中するためには、しっかり頭に血液を巡らせるための良い姿勢が必要ですね。

内臓の機能低下

姿勢の乱れによる内臓の圧迫

 

身体には内臓がたくさんあります。姿勢の乱れで身体が傾くことで、左右どちらかの内臓が圧迫されてしまうんですね。この圧迫された内臓は、窮屈な状態なのでその機能が落ちてしまうわけです。また、

お腹の圧力が低下し、 下腹が出てくる。このことは消化機能の低下の原因になり、便秘や下痢になりやすい傾向がある
(安藤ら:姿勢改善のための社会的システムの構築.政策フォーラム,2013)

とも言われています。

肩こり、腰痛

姿勢の乱れは肩や腰に負担がかかります。猫背になれば頭が前に位置するので、その頭を支える首や肩がこりますし、身体が傾くことで、それを支えるための左右の腰の筋肉に負担がかかります。

 

小学生の姿勢の乱れの原因

この小学生の乱れの原因は一つならばありがたいのですが…かなりいろんな原因が混じっています。大きく考えられるのは以下の7つですね。

  1. ゲームや勉強時の姿勢
  2. 意識の問題
  3. 日常的な運動不足
  4. 両親の影響
  5. 机と椅子の不適合
  6. 黒板の向き
  7. 悪循環

1,ゲームや勉強時の姿勢

携帯型ゲームや携帯ゲームの普及で長く下を向く子供が増えている(琵琶湖成蹊スポーツ大学 新宅幸憲教授)

とのことです。

小学生の姿勢の乱れ

こんな感じで下を見ながらスマホをイジる子供が増えました。同時に、勉強するときの姿勢が乱れている子供は多いですよね。床に足がついていなかったり、椅子の上で正座していたり、お尻を半分だけ椅子に乗せていたり、背中が丸かったりしています。

2,意識の問題

「突然ですが、姿勢を楽にしてください」

と言うと、背中が丸くなってしまう人がたくさんいます。たしかに楽なんですが、でも身体にとっては楽ではありません。

背中を丸くした時に身体を支えるのは、背骨の周りにある靭帯など。この靭帯は繰り返し負担をかけられることでゆるゆると伸びていってしまいます。するとさらに背中が丸くなりやすくなるので、また靭帯に負担をかけるといった良くない悪循環に陥ってしまいます。

姿勢の乱れ

楽な姿勢が、身体にとって楽な姿勢とは限らないわけですね。

また、「背筋を伸ばしてください」や「胸を張って」という指示に対して純粋に捉えると

胸を張る様子

こんな風になってしまう子供もまぁまぁ見てきました。少し気をつけて言葉を使う必要がありますね。

日常的な運動不足

今の小学生は、運動量の低下によって全身の筋力不足が生じていると言われています。これは、遊びの内容がゲームに変わってきたことに加えて、放課後外で遊ぶのではなく塾へ行くといった時間の使い方の変化などが原因と言われています。

だいぶ古いデータですが…今の子供が運動不測の理由を調べた資料もありました。

今の子供が運動不足の理由
(総理府「体力・スポーツに関する世論調査」)

また、小学生の1日あたりの歩数も大きく減少傾向にあります。

小学生の一日あたりの歩数
(日常生活活動に関する調査(広域歩数調査))

こういった活動量の低下は、筋力の低下に直結するので、身体を支える姿勢保持のための筋肉が乏しくなってしまうわけですね。

両親の影響

まず、1949年の学習指導要領改訂で姿勢項目が削除されました。つまり、姿勢教育を受けていない子供が親の世代になったわけです。こういったところや、親自身がスマホを使った変な姿勢をとることで、子供がその姿勢を真似してしまうわけです。

「子供は教えられるのは苦手だけど、真似するのは抜群に上手い」

と言います。姿勢を教える人の日々の姿勢が悪ければ、何を言っても効果的ではありません。あとは…物騒な世の中なので、外遊びに懸念を抱く親の増加も理由の一つにあります。外遊びをしない=運動不足ですね。

机と椅子の不適合

小学生の椅子と机が、その子に合った状態になっているかも問題です。

座位姿勢に関して、机・椅子の不適合の度合いが強くなるに伴い姿勢の良い児童はみられなくなり、極端に大きさの合っていない机・椅子の利用は良い姿勢の獲得を妨げる可能性がある
(五十嵐剛:ある通常学級における机・椅子の適合度は机上課題・筆圧・座位姿勢に影響を与えるか.作業療法,2013)

と言われていて、低学年ほど、机・椅子が大き過ぎて不適合となる傾向にあります。

机と椅子の適合サイズ
https://www.hust.jp/kids/size.htmlより)

 

黒板の向き

家でテレビを見るときに、そのテレビの位置が正面に位置していないことは良くあります。

家でテレビを見る様子

このとき、写真の場合は常に右側を向くようになってしまいます。これは首・身体ともに右側を向きやすい状態、言い換えれば左側を向きにくい状態に変わってしまいます。

小学生の席順に関しても、黒板の右側に座る子供はそっちを向きやすい身体に変わっていくわけですね。

悪循環

姿勢の悪化は、筋肉ではなく靱帯に頼る休息姿勢を日常化させてしまうのですが…これが背筋の廃用性萎縮を進め、その弱くなった背筋で活動するため腰痛や活動意欲の低下が起こり、ますます背筋の萎縮が起こるといった悪循環が生じるわけです。

今まで書いてきた内容が、悪い悪循環となってより姿勢の悪化に繋がっていくわけです。

姿勢悪化のサイクル

姿勢改善の効果

まずは先に挙げた

  • 骨の歪み
  • 集中力の低下
  • 内臓の機能低下→便秘や下痢
  • 肩こり、腰痛

これらの改善と予防が行えます。

加えて、「学校生活に満足するか」との問いに対して姿勢が良い生徒の方が学校生活に満足している傾向にあります。

姿勢が良い生徒

子供の体幹を鍛える研究〜正しい姿勢のもたらす教育的効果の検証〜(東京都教職員研修センター・早稲田大学,2014)

また同じ検証の中で、姿勢の良い生徒が学習に積極的で学習を楽しいと感じている傾向もありました。

姿勢が良い生徒

 

姿勢改善のためのアプローチ

正しい姿勢について

まず、姿勢を改善するためには「正しい姿勢」を知る必要があります。子供に対して

背筋を伸ばし、あごを引き、顔が正面に向いた状態
子供の体幹を鍛える研究〜正しい姿勢のもたらす教育的効果の検証〜(東京都教職員研修センター・早稲田大学,2014)

が良い姿勢と言われています。また座っている時は足裏が床についていることも大事だし、重心が両脚に均等に乗っていることも大事ですよね。

ここに加えて、BOZU的にはもう一つ重要なポイントがあると思っています。それは「脱力出来ていること」です。イメージはバランスのとれた姿勢。一般的に正しいと言われている姿勢だとしても、その子にとって(もちろん大人も)無理して頑張ろうとすると、変に力が入って余計に負担がかかる可能性があります。

今の姿勢からちょっと良くしてあげる。それが出来てきたら、またもう少し良い姿勢を獲得していくのが大事だと考えています。

まぁ理想論なので若干難しいのですが、意識として「無理しすぎないこと」を頭に入れながら姿勢改善に繋げていきたいですね。

小学生の姿勢改善アプローチ

まず現状について調べていたものがあったので、それを載せていきますね。

よく行われているもので

  • 教師による声かけ注意
  • 養護教諭による保健便りの配布
  • 保健室でのポスター

などがあるのですが、これらが「目立った効果を残しているとは言い難い」とされています。
(安藤ら:姿勢改善のための社会的システムの構築.政策フォーラム,2013)

また姿勢に関する全国1555校の調査では、全教員で姿勢の悪い児童に声をかける取り組みが最も多く、調査校全体の58.4%で取り組まれていました。この中で効果の実感が得られているのは声かけを行った児童の36.9%だったとのことです。
(橋本ら:小学校における姿勢に関する教育と管理に関する研究-有効な教育形態及び机・椅子の適合作業との関連について-)

次に、養護教諭では保健たよりの配布が76.6%で最多でしたが、これで養護教諭の感じる姿勢改善の実感レベルの変化は起きていないとのことです。(知識に関しては54.7%の児童が向上みられた)
(橋本ら:小学校における姿勢に関する教育と管理に関する研究-有効な教育形態及び机・椅子の適合作業との関連について-)

こういったところから、知識の向上を図ることも大事ですが、最近は実践の方が大事と言われています。

効果的なアプローチ

まず一番オススメしているのがコレです。

フロントブリッジ

小学生の姿勢改善プログラムではピラーブリッジ(フロントブリッジ)などの体幹トレーニングが効果的
(澤木一貴:腹圧を高めて理想の姿勢・体型へ.trainig journal,2014)

この筋トレの注意点は、お腹が下がったり上がったりしないこと。30秒〜1分ぐらいはキープ出来るようにしたいですね。

 

あとはストレッチ(3種目)とブリッジ (トレーニング、3種目)を体育館やグラウンドなどの広い場所で週3日(5~10分程度) 実施することで姿勢改善に効果があったとされています。
子供の体幹を鍛える研究〜正しい姿勢のもたらす教育的効果の検証〜(東京都教職員研修センター・早稲田大学,2014)

小学生の姿勢改善のためのアプローチ

 

声かけのコツ

効果的な運動方法に加えて、効果的な声かけも大事です。

「良い姿勢をとりましょう」

では小学生にとって曖昧すぎるんです。声かけなら授業の時の姿勢が一番大事だと思うので…BOZUオススメの声かけは

  • 「背筋ピン」
  • 「おしりぴったり」
  • 「足は前で床ぺったん」
  • 「おへそは前へ向けましょう」

です。結構分かりやすいみたいです。

 

小学生の姿勢改善-まとめ-

  • 子供の姿勢は年々乱れていく傾向にある
  • 姿勢の乱れの原因は多岐に渡るため、多角的にアプローチする必要がある
  • 子供は真似をする生き物なので、周りの大人の姿勢も綺麗にする必要がある
  • 運動する習慣が大事
  • 学校教育の現場では、知識よりも実践を意識し、声かけに関しても「背筋ピン」など具体的なものにする。

 

 


実は今回の記事は昔に作った勉強会資料がメインでした。写真はネットからバンバン拾ってたので修正が大変だった…資料のコピペを使いながらだったので、ちょっとごちゃごちゃした記事になってしまい読みにくかったかもしれません…
なのにここまで読んでいただいた方には本当に感謝です。

子供の姿勢、実は中学生で一番乱れると言われています。その前段階の小学生で、きちんと姿勢を良くする習慣をつけることができれば、中学生時点の乱れも抑えれるのではないでしょうか!?

と、いうことで今回の記事は
「小学生の姿勢の現状と、改善のためのアプローチ」でした!
コメント、違う視点からの意見、質問など大歓迎です。お気軽にどうぞ。

また小学校の先生向け、親御さん向けに姿勢に関する勉強会を良く開いてました。もしご希望があればお問い合わせから連絡くださいませ〜