知っておくべきリハビリの分類〜「こんなはずじゃなかった」を防ぐ〜

分類 日常

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リハビリという言葉。
一言で表されるものの、これってすごく範囲が広い。「リハビリとは何か」みたいなテーマでいくと、だいたいフワッとして終わってしまう。なので今回、リハビリの分類を細かく分けながら、具体的なケースで「理学療法士の行うリハビリ」を説明したいなと思います。

リハビリ資格者の方は、自分がどのカテゴリのリハビリを提供しているのかをしっかり把握しておくこと。そして自分のリハビリを受ける人がどのリハビリを求めているのかをちゃんとヒアリングしながら頭に入れること。

この二者のミスマッチにコミュニケーション不足が重なると、「こんなハズじゃなかった!」という不満に変わってしまいます

 

定義や歴史が知りたい方はウィキペディア先生にお任せします。リハビリテーション(Wiki)

*追記
今回の記事ではリハビリ自体を説明するものではなく、「理学療法士の具体的なリハビリ」について説明しています。作業療法士や言語聴覚士のリハビリはもちろん違う内容も入ってきますし、リハ医や看護師の観点からはまた違ったリハビリが見えてきます。さらにリハ栄養や家族のリハビリというものもあり、全体像としてはもっと大きなものになるので、その点だけご注意ください。今回の記事の目的は、理学療法士のリハビリを受けている人やそのご家族さんにとって「どんなリハビリがあって」「自分はどうしたいのかを考えて」「その先の方向性をどうするのか」を考えてもらいたいなと考えたため書きました。

治療としてのリハビリ

これは病院(特に急性期)やクリニックの中のリハビリをイメージすると良いですね。治療として、つまり身体を良くすることを目的に行うリハビリです。

治療としてのリハビリ
  • 足を骨折して手術をしたあと、歩けるよう練習にする
  • 脳梗塞で麻痺になった手足を、少しでも動かせるようにする
  • 腰痛の痛みを取る
  • 五十肩で上がらない肩を上げるようにする
  • 膝の手術後、関節が硬くならないようにストレッチを行う
  • 呼吸困難のある方に対して、胸の柔軟性や首の筋肉の緊張を取って楽に呼吸出来るようにする
  • 体力低下を起こしている方に、全身運動や自転車を漕いでもらい動ける身体を作る
  • その他痛みや苦痛を取る
    etc

 

機能訓練としてのリハビリ

ここは、デイサービスでのリハビリで多くみられるところですね。運動を行いながら体力の維持や向上を図っていきます

  • デイサービスでマシンを使って運動する
  • 集団体操など
  • レッドコード(スリング)でエクササイズを行う
  • 立ち上がりの練習をする
  • 歩く練習をする
    etc

 

生き方や生活の中のリハビリ

リハビリテーションの概念として一番ピッタリはまるのはここのリハビリだと思います。
訪問リハビリがここの領域ですが、ほかのリハビリでも必須で頭に入れておかないといけない部分です。人の身体は、何か病気を起こした時に治らないケースはよくあります。治らない身体でいかに生活を送るか、いかに楽しく日々を過ごすかが大事になってきます

生き方としてのリハビリ

 

  • 身体が弱ってしまっているものの、可能な範囲でゴルフなどの趣味活動を行うように促していく
  • 手の怪我があって料理するのが大変なので、その動かしにくい手の状態での料理の仕方を練習する
  • トイレまでの歩行のために手すりをつけたり、移動できない場合は部屋のレイアウトの変更や部屋そのものの変更を提案する
  • 脚の痛みがあったとしても、それを受け入れて可能な範囲で運動したり、外に出るように促していく
  • 対話の中で「生きがい」や「やりたいこと」を見つけてもらうサポートをする
  • 社会への参加を促し、家で閉じこまらないようにサポートする
  • 「心理面のケア」などを行う
    etc

 

現状維持のためのリハビリ

上に同じく、身体が治らないケースはたくさんあります。その場合でも、身体を動かさないことによる身体機能の低下を予防する必要はあります

  • 関節が硬くならないようにストレッチする
  • 寝たきりの身体を起こして覚醒を上げる
  • 運動を行いながら体力の維持を図る
  • 痛む腰痛や膝痛の一時的な緩和を図る
  • がんの方のむくみに対して、リンパドレナージュ(むくみ改善アプローチ)を行う
  • 救急治療室などで、姿勢変換を行ったり、ポジショニングの指導(姿勢の調整)を行う
  • 進行性の病気で、身体が悪くなっていくなかでその時々の状態に合わせて「運動やストレッチ」「環境設定」などを都度行い、活動量の維持を図る
    etc

 

スポーツ分野のリハビリ

スポーツ選手のリハビリです。スポーツ選手の怪我はよくありますが、その時は練習が出来ないですよね!?
ここのリハビリではパフォーマンスの維持だけでなく、向上も図ります。

  • 怪我した箇所の治療
  • 怪我していない部位のトレーニング
  • 再度同じ怪我をしないように、怪我をした原因を分析し、それに合わせた動作の練習やトレーニング
  • 競技特性に合わせたスキルアップのための指導
  • 競技特性に合わせた怪我の予防方法の指導
    etc

 

子どものリハビリ

子どものリハビリは結構特殊かも。治すとか維持するとかではなくて、発達を促すようなリハビリになります。
発達と言うとちょっと難しいですが、簡単に言い換えれば「成長」です。

子どものリハビリ
  • 発達障害の子どもに、遊びを通して発達を促す
  • 自分で移動出来なくても、道具や器具を使って移動する能力を出来るだけ早期に獲得する
  • 身体の感覚を知ってもらうため、手足を触ったりボールプールに入ってもらったりする
  • 背骨の変形を予防する
  • 麻痺した手足を触り動かしながら、感覚入力を通して麻痺の改善を図る
    etc

 

予防としてのリハビリ

ここは言葉の定義が曖昧で、最近出てきているキーワードですね。目的は、健康な生活を送り続けるためのリハビリ。一般の人々は「運動」を予防リハビリと捉えているケースが多いですが、それだけでなく、身体の正しい使い方を学習したり、社会参加とかもこの分類に入ります。

予防としてのリハビリ
  • 変な歩き方になっている人に、良い歩き方を指導する
  • 介護予防教室
  • 地域でラジオ体操をする
  • 姿勢改善やウォーキング教室
  • パーソナルトレーニング
  • ヨガやピラティス
    etc

ここは医療の中には入らないものになってくるので、いろんな資格者や無資格者が混在しまくっています。でも本当の意味での予防リハビリを受けるなら、理学療法士、作業療法士などのリハビリを専門とする資格者が行うものを受けることをオススメします。(もしくはリハビリの本質的な理解を持っている人が行う予防リハビリですね)

予防リハビリについては記事を書きました。もっと詳しく知りたい方はこちらをチェックください。
「予防リハビリ」をすれば、健康寿命をビョーーンと伸ばせる!?

リハビリって辛くてしんどいの?

最近リハビリ関係サービスを作っている方からちょこちょこ聞かれる「リハビリは面白くない」という言葉。

「いかにリハビリを面白くするか」は大事な視点で大賛成なのですが、その前提としてよく言われる「リハビリは面白くない」は本当なんでしょうか!?

世の中のメディアとかでも
「辛くて厳しいリハビリ」
「リハビリは面白くない」
「リハビリに耐えて頑張った」
とか言われたりします。

これを言う患者さん、利用者さんはたしかにいます。が、大多数かというとそうではないと思います(あくまで個人的感覚ですが)。

加えて、「辛くて厳しいリハビリ」が行われるケースはたしかにあるかもしれません。ただこの場合、患者さんがそれを求めているケースがほとんど。
言い換えれば、そのリハビリをすることで満足されているわけです。

実は、リハビリを楽しみにしている患者さん・利用者さんはたくさんいます。むしろこっちの方が多いと思っています。

リハビリをエンタメ化する流れは大賛成でありながら、今のリハビリでもちゃんと楽しんでいる人たちがいることを忘れてはいけない。本質的に大事なことは「いかにリハビリ効果を高めるか」です。エンタメ化は手段であることを頭に入れておきたいですね。

 

 


改めて思ったのですが…今上に書いたリハビリの分類、BOZUは全て経験しています。幅広くみれる分、一個一個に対する弱さがあるのは自覚しておかねば…がんばろっと。

と、いうことで今回の記事は
「 知っておくべき「リハビリ」の分類」でした!
コメント、違う視点からの意見、質問など大歓迎です。お気軽にどうぞ。

今回の記事を見ていただいた方には
患者さん・ケアマネさんに必ず知って欲しい訪問リハビリのこと-退院早期のリハビリ-」もおすすめです。
ぜひ見てあげてください〜〜