脳卒中の障害改善にVR!「半側空間無視」を改善させる最新技術

脳 医療

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脳卒中に対するリハビリは、今までにもいろんなものが試行錯誤されながら進んでいます。その中で最近、仮想現実と呼ばれる「VR:バーチャルリアリティ」を使ったリハビリが注目されはじめています。

 

VR(バーチャルリアリティ)とは何?

ブリタニカ国際大百科事典で「バーチャルリアリティ」を引くと「コンピュータ・モデルとシミュレーション技術を用いて、コンピュータでつくられた三次元空間を視覚その他の感覚を通じ疑似体験できるようにしたもの。仮想現実と訳される」と書いてあります。

いやぁわかりにくい…
なのでまず雰囲気。昨年新宿に出来た「VR」のゲームセンターみたいな所の動画を見てみてください。
近未来感が溢れてます。

なんとなくイメージつきました?
こういった専用のゴーグルをつけると、360°全てがスクリーン状態になる感じです。

これはゲームですが、海外のスキーチームがVRを活用したトレーニングでパフォーマンスを向上させるなど、VR技術と身体機能の融合について注目が高まっています。

こういったVR技術を脳卒中の半側空間無視という症状に使うことで、治療効果をあげようというわけです。

脳卒中症状の半側空間無視無視とは何?

「頻繁に肩を障害物にぶつけてしまう」「物を見落としたりする」「印刷物に書かれている内容の半分だけが読めない」「ご飯を食べていて左側半分のご飯に気づかず残してしまう」などなどの症状が、半側空間無視です。

これは、脳卒中を起こした後に起こりやすい症状で、脳の損傷部位と反対側の空間の刺激に反応できない状態になっています。脳卒中などで右側の脳を損傷した患者の3~6割に、左半分の空間の刺激に反応できない左半側空間無視が現れるとの報告もあります。これを発症すると日常生活に結構大きな影響を与えます。半側空間無視でご飯を半分残すケース

この半側空間無視の原因ははっきりとしていませんが、大まかには脳の障害によって、障害された大脳半球の対側からの刺激が認識できなくなってしまうことが要因と考えられています。

よく起こるのが、右脳の障害による左側半側空間無視。ちなみに左眼が失明している場合も多いのですが、見えていることもあり、半盲(目が見えない状態)とは別の障害とされています。

ちなみに半側空間無視の患者さんに、見た物の絵を描いてもらうと、左側の欠けた絵になります
目が見えないだけならこんな絵にはなりませんよね。
半側空間無視の絵
*半側空間無視 – 脳科学辞典より

ちなみになんですが、半側空間無視の一般的な考え方については良い感じの論文がありました。https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrmc/53/8/53_629/_pdf

少し難しいかもしれませんが、もしも半側空間無視の詳細について興味があれば、是非ご覧ください。

半側空間無視に対するVRの最新の研究

バーチャルリアリティ(VR)を使った6分間の介入で左半側空間無視の優位な改善が得られたことを、早稲田大学の研究グループが実証しました。

今回、研究グループはVR技術を応用し、仮想空間上で徐々に右から左に向かって見える空間を消していく工夫を実施。この空間を用いた治療方法で、左無視が改善するか半側空間無視の患者を対象に調査しました。

その結果、半側空間無視の改善が得られたことが明らかとなったのです(ただし、近くのものに対しては改善みられず、遠くのものに限定した改善です)今回の実験はVRでの治療直後の効果を検証した結果であり、今後は長期間での効果を検証していく必要があります。同時に、長期間のVR治療を行えば、近くのものに対する半側空間無視も改善するかも!?

参考:脳卒中後のリハビリにVRを!「半側空間無視」を改善、早稲田大が実証(日経デジタルヘルス)http://tech.nikkeibp.co.jp/dm/atcl/feature/15/327441/011600293/?ST=health&P=1

こういった半側空間無視に対するVR治療、一般の人は使えるの?

これは残念ながら研究ベースなのでまだ一般の人が使うことは難しいです。
今までの治療として、

などがあるので、それらから取り組んでいきましょう。

ただしこのVRゴーグル。「Oculus Go」というのが発売されました。今まではこのVRの機器はかなりのお値段だったのですが、なんと23800円!!!完全に価格破壊です。
VRのヘッドセット
これが市販で売られているので、あとは半側空間無視の改善ソフトが出れば使えるようになりますね。
いつソフトが出るのかは全くわかりませんが、そう遠くない未来だと感じています。

 

 

最後に、一般の方々に気をつけていただきたいことは、VRで改善が期待されているのは、「半側空間無視」という症状についてです。メディアのタイトルでは、脳梗塞に対するVRや、脳卒中に対するVRとして記事が書かれているケースもチラホラと見つけました。

改めて言いますが、現状では「半側空間無視」という症状に対してVR治療の研究が進んでいるだけで、脳卒中そのものは別問題です。もちろん今後が期待される領域ではあるので、期待しながら新しい研究を待ちたいですね。

 

と、いうことで今回の記事は
「 脳卒中の障害の改善にVR!半側空間無視を改善させる最新技術」でした!

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ぜひ見てあげてください〜〜